除染

最近、児玉龍彦東大教授がテレビによく出るようになった。
7月27日に衆議院厚生労働委員会で怒りの答弁をした時には、ユーチューブなどの映像とともにネットでは大きな話題となったが、テレビは無視していたはずだ。今ごろになってその時の映像とともに児玉教授を放射能汚染と真剣に戦う正義感あふれる学者と紹介している。
小生は別に児玉教授を批判的に見ているわけではなく、数少ないまともな学者の一人と尊敬している。
ただ、厚生労働委員会での怒りの答弁から1ヶ月以上もたってはインパクトは弱くなってしまっているし、児玉教授が取材されているのは「放射性物質の除染」にからんでなのである。
そして、野田首相が8日にも福島県を訪問し、国の責任で放射性物資の除染に取り組む決意を伝えるというような報道がされている。除染をすれば被曝の心配は大幅に減少し、「今でも大丈夫だが、より安心して住み続けることができる」という雰囲気を作ろうとしているように見える。児玉教授は除染すれば大丈夫という雰囲気作りに利用されているだけのように思う。どうあっても福島県民を避難、疎開はさせない方針なのだろう。
いまだに福島第一原発からは放射性物質が放出され続けているというのに、除染はどれほど有効なのだろうか。もちろん「点」で放射線量を低くすることはできるだろうが、それを「面」にまでするにはどれほどの作業、時間、お金が必要なのだろうか。避難した上での除染作業ではないのだから、結局は被曝を続ける結果になるだけなのではないだろうか。
小生はとっくに行政には何も期待はしていないのだが、被曝状態の固定化が進む一方なのは、悲しく、恐ろしいばかりである。