3ヶ月

昨日で東日本大震災発生から3ヶ月が過ぎた。
4月11日には大きな余震が来たので、6月11日近辺も何となく不安だったが、幸い大きな余震はなかった。しかし今日はうちの方でも震度3くらいの揺れの地震が2回あった。まだまだ余震は続いていて油断はできない。
しかし余震以上に福島原発の状況はどうしようもなく心配である。今の日本にはこの事故を終息させる力はないように思える。希望のかけらさえないのに、何故に日本人の大部分は普通に暮らしていられるのだろうか。不思議を通り越して恐ろしい。
普通に過ごしているのは福島県でも余り変わりはない。前にコメントの返事に福島県の状況を少し書いたのだが、こちらでも書いておこうと思う。

福島県でも、海側で甚大な津波被害を受けた地域や原発事故で避難を強いられた地域の人など以外は、おおむね震災前の日常に戻っている。もちろん個別に家屋の被害が出た人も多数いるが、津波被害でがれきの撤去さえままならない地域と比べれば、徐々に復旧はされている。
最悪の問題で、早急に対応しなければならない問題は放射能汚染の影響だと思うのだが、福島県でも深刻な問題と考えている人はほんの一部である。
たぶんこのブログを読みに来ている方は放射能被害について深刻に考えている人がほとんどだと思うが、福島県も関東などと同じような感じである。自治体発表の放射線値が高い地域は少しは違うだろうが、うちの近辺では放射能被害を気にしている人は20人に1人もいるかいないか程度だろう。逆に放射能による「風評被害」を心配している人の方が多いのではないだろうか。
商店街を歩けば「がんばろう福島」とか「がんばろう○○(その市町村名)」というポスターなどがべたべた貼られ、バスにも「がんばろう福島」。スーパーに入れば「地産地消」のコーナーもあったりする。
福島産の食品は「風評被害」のため他県ではあまり売れなくなってしまったから、それなら福島県民がみんなで積極的に食べようみたいな空気が出来ている。生産者の視点はあるが、消費者に対する視点はないに等しい。学校給食までも地産地消が奨励されるくらいだから、放射能被害が大人の何倍も出るであろう子供に対する視点もないがしろにされているのが現状である。
テレビはさすがに今はACのCMはほとんど流れなくなったが、なぜか「アンパンマンのテーマ」とか、よくわからないアニメの歌が頻繁に流れている。フジテレビ系のチャンネルではマルモの歌が番組間には必ずかと思うくらいに流れている。ちょっと前まではACのCMや、芸能人やらスポーツ選手の「がんばれ福島」、「日本は一つ」みたいなメッセージがうんざりするほど流されていた。
全く、ここは戦前、戦中の日本なのかという感じだ。
地元のテレビ局で放射線量を計るような企画はあるが、これもたまにしかやっていないし、特に福島だから原発事故関連のニュースが多いという感じはない。普通につまらないバラエティ番組は流れているし、それ以上に情けない政治のドタバタ劇。無責任で無能な今の首相やその周辺の政治家を見るくらいなら、まだくだらなくてもお笑い芸人を見ていた方がましかもしれない。これでめでたく危機感のない県民が増えるというわけである。
この前、妹がうちに来て話していたのだが、子供を連れて遠くに避難したいのだが、避難すればもう戻って来て同じ場所で商売をすることはできないだろうから、避難するならもう戻らないくらいの覚悟が必要だというようなことも言っていた。田舎になるほど、放射能汚染を心配して何か対策をするとか、ましてや逃げるということは白い目で見られてしまうのが今の福島の現状なのだ。

かつて日本人は目に見えないものを畏れ、敬う心がある民族だったはずである。今は目に見えること、見せられていることしか見えない民族になり下がってしまった。数年後、いや数ヵ月後に突き付けられるであろう恐ろしい現実を見せられた時にはもう遅いのである。